(株)都市リサーチ 代表取締役 大竹 雅之さん

応急仮設住宅は、宮城県で約2万戸が建てられましたが、ほとんどが大手プレハブメーカーが所属する全国組織が中心となり建設がなされました。緊急につくられた大手プレハブメーカーの住宅は断熱など寒冷地対策が不十分で改修工事が必要でしたが、地元工務店の手でわずかな量が建設された応急仮設住宅に関しては、殆どクレームがありませんでした。この地元工務店は震災直後から当分の間は、様々な災害復旧対応に駆り出され、復興住宅再建業務は大手プレハブメーカーに流れてしまいました。私は皆さんの依頼もあり、新宮城の家づくり協会という地元工務店60社からなる組織を立上げさせていただきました。これは、相当な規模の復興住宅建設需要発生が予想される中、何とか地元工務店の受注チャンスを広げ、結果的に地域に根ざした住宅建設を地元集団で対応しようとしたのです。宮城県では今後公民合わせ約8万戸程度の住宅建設が予定され、これには他県の工務店との協定も想定しています。住宅産業は裾野が広く投資したお金が多方面に行き渡ります。これを地元工務店から地域に還元し地域経済の活性化に役立たせたいと思うのです。
次に、復興住宅建設を推進するためには全国の建築士会の皆さんに協力を仰ぎたいのです。防災集団移転促進事業は幅広い事業で、様々な専門分野の連携の中で進めていくものです。この点、建築士会は職域が広く、さらに一般市民と接する機会が多く、コミュニケーターとしての役割が担える専門家集団です。行政との付き合いも深いことも優れた点です。
気になる点は、医師会、弁護士会と比べて一般市民にそれほど理解されていないと感じる点です。なりすまし建築士の問題も不透明さの一端が露出したのだと思います。これらを改善するには、建築士会への入会を社会的システムとすることだと考えます。この震災を、あえて言うなら一つの機会と捉え、一般市民へさらなるアピールをさらに強化するべきだと思います。積極的な捉え方と行動が求められています。
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☆本日の担当:衛藤照夫