ゲスト:辻本洗工所 辻本将雄さん
大阪の船場で曾祖父がこの仕事を始めました。終戦後に父は京都へ来ましたが、父の兄弟6人全員が洗いの仕事をしています。
灰汁洗いは家屋の木部を洗うことで、実は清掃とは少し違います。神社仏閣、工務店さんを通じて妙心寺さんにもお出入りさせて頂いてまして、その関係で日本各地へも行っています。門や玄関、天井などを洗い、法要の時などにされますが桐タンスなども洗います。
灰汁とは、いまで言う苛性ソーダです。明治の頃は職人さんが3〜40人いたそうです。洗いには灰汁が大量に要りますから、火事場跡のすすを集めて使っていました。その後苛性ソーダに変わっていきました。
木の表面を苛性ソーダで焼くと、化学反応で組織が柔らかくなり汚れが取れやすくなります。元の木の状態に戻ったわけですが、黒くなっているので、今度はシュウ酸、硫酸、塩酸などの酸で締めて色を戻します。
お寺などで行う古色洗いというのは、色をあまり白くしないものですが、神社は白い状態までにする洗いをします。<続く>
<教えて!建築士さん>
テーマ:住宅のリフォーム 〜リフォームしようと思ったら〜
担当・齋藤義憲、案内・下村委津子
音声:
☆本日の担当:山本晶三
辻本さんのお話の続き...工程は、
まず表面を水で濡らす --> 苛性ソーダで洗う --> 水でゆすぐ -->
ささらでこする --> 酸で戻して真水で完全ゆすぎです。
こするためのささらは堅いので、今はスコッチを使うことが多いです。
ゆすぎなどは水箒(みずぼう)という餅米の稲穂でつくった物を使います。
外が黒、中が朱色の手桶と水箒が洗い屋のトレードマークです。物の汚れは、年数、汚れの種類、材質によってすべて違いますが、汚れたときにすぐに洗うと100%取れます。墨汁と血液はとれにくいです。
何の汚れかはまず小さく試し洗いをしますが、廊下の真ん中の小さな汚れなど、コーヒーなのか、ペットの尿なのかなど「とりあえずやらせてください」とお願いします。試し洗いを怠って、洗って床板が紫になった大失敗もありました。どうも床を保護する塗料が薄く塗ってあったようです。

平成天皇が仁和寺においでになったときは、歩かれる廻廊を洗わせて頂きました。白く洗いましたが、どの場合でも天井、柱、敷居、高欄などどこまで洗うのかのバランスが大切ですね。
これはどうやって洗うのかという問い合わせも工務店さんからよくあります。旅館やお寿司屋さんな毎年年末にお伺いするところもありますが、建物全体をきれいにするので同時に畳屋さん、表具屋さんなども入られます。
お住まいの方はそうやって大切にされて、こちらは「喜ばれる仕事やからいいね」といって頂いて有り難いことです。


