
■地球とお庭
ゲスト:造園植治 小川勝章さん
造園植治は江戸時代から続いており代々「小川治兵衞」の名を継いでいます。現在、父が11代目になります。
造園の仕事は幅広いですが、直に地球に触らせていただく仕事だと思っています。先祖から受けさせて頂いている仕事もありますし、新しくさせて頂くものもありますが、共通していえるのは、元々、何かあった所に新しく木を植えさせて頂いたり、石を据えさせて頂いたりして、もう一度地球から「エネルギーを分けてください」という気持ちで一緒にがんばっていける、そんなうれしい仕事をさせてもらっています。<続く>
音声:
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☆本日の担当:小田木洋子、江坂幸典
小川さんのお話の続き...
例えば小さなスペースでも自分だけが最も愛することのできるお庭があれば、とても幸せなことだと思います。
お庭というのは世代を超えて残る場合がありますが、そういったお庭を目にさせて頂いたり、直にふれさせて頂いたりすることは、とても尊いことで責任のあることなのです。
先祖の手がけたお庭は、なにがしかの香りが残っていて、お施主さんとのやりとりや気持ちが残っています。形を残すことも大事ですが、そこに込められた思いが育まれていくことが大事だと思います。
今はかわいそうな樹木が多すぎます。例えば街路樹がたくさん植えられていますが誰も見向きもしません。ないと寂しいのですが伸びて茂りだすと苦情が出ます。きれいごとだけでは成立たない樹木と人間の関係ですが、できれば人間が責任を持てる範囲で樹木と良い関係を築いていければいいなと思います。
お庭はお庭単独では成立しません。その向こうには人がいます。その人が喜ばないお庭をつくってもお庭は悲しみます。
一番大事なのは人と人との信頼関係だと思います。ですからその人がどんな生活をされているのか、どんな本や音楽が好きなのかといった雰囲気もとても大事なので、お庭にもそんな雰囲気を出せたらいいなと思っています。